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◆諸県弁の地域 諸県弁は、小林市(須木村は宮崎弁に近い)、えびの市(ほぼ鹿児島弁)、高原町、曽於市、志布志市の一部の地域で使われていますが、地域よっては、アクセントや語彙に違いがあります。 諸県弁は時代の変遷と共に変化し、それぞれの年代で語彙やアクセントが違うと思います。 以下、 諸県弁(都城弁) 都城市史より ◆発音上の特徴 都城は、島津発祥の地で薩摩藩の地域の伝統から薩隅方言の一種ですが、アクセントやイントネーションが鹿児島で用いられる方言とは大いに異なっています。 角川版の『国語辞典』によれば、日本語のアクセントは系譜上四つに分類されています。京都や大阪などを中心として行われる第一種アクセント、東京都や横浜市などを中心に行われる第二種、埼玉県東北部や山梨県、島根県の各一部、長崎県や鹿児島県などを含む九州西南部地方で行われる第三種、そうして最後の第四種が、すなわち都城市を中心として北諸県地方で行われるアクセントです。 この系譜上の分類と形式上の分類との関係は、第一、三種が「京阪式」 に、第二種が 「東京式」 に当たり、第四種は「統合一型式」 のアクセントに当たるとされています。 諸県方言の語彙は、その八、九割までは薩隅方言と同一ですが、そのアクセントやイントネーションにおいて大きく異なります。すなわち薩隅方言は抑揚の変化に富んでいますが、都城方言は極めて平板に話され、一様に語尾を揚げるのを特徴とします。 ◆鹿児島の方言と相違する語彙 都城で用いられる方言と鹿児島で用いられる方言とを比較してみて、全く語彙の異なる言葉には、次のようなものがあります。
◆重語の発達 方言語彙そのものが異なっている他に、たとえば強意を表現するのに鹿児島では形容詞を詠嘆的に用いますが、都城では次のように形容詞を重ねる点に特徴があります。 大いに寒い 都城:サミモサミ 鹿児島:さむかぁ 大いに辛い 都城:コエモコエ 鹿児島:つらかぁ 大いに暑い 都城:ヌキモヌキ 鹿児島:あつかぁ ◆鹿児島の方言と相違する理由 同一薩摩藩という伝統を持ちながら、鹿児島と都城との方言において、語彙面と発音にこのような相違があるのは、地理的な要因と歴史的な要因とを加味して考えなけれはなりません。 すなわち、都城・北諸県地方は霧島山の南東盆地にあって、地理的にも薩摩藩の本府鹿児島から遠く離れており、かつては交通の便も悪く通婚圏域ではなかったからです。 第二に歴史的な要因として、都城地方は島津第四代忠宗の六男資忠が、正平七年(一三五二)以来、ほとんど一貫してその子孫が統治して明治の版籍奉還に至ったことです。 このようにあまり人的交流がなかったことなどが、その一因としてあげられます。 |